白濁炎上
オオカミ


たらちねの殻梯子からおりてくる
あの白いもののなまえを

ぼんやりと霞む視界だけれど
ああここにはことばがある

たくさんの羽虫が
いのちを喰いつぶして
ああでもつらくはない



いつか
たらちねの空梯子をつたって
おりてきたあの白いものは
かぞえきれない
雨粒だったかもしれない
か弱い獅子だったかもしれない
羽虫のいのちだったかもしれない
ふるえる睫毛だったかもしれない
わたしだったかもしれない
なまえのない幾万の抱擁だったかもしれない



蹴り折るはしごの切っ先に
未来とか、あしたとか
そういうなまえをつけて
あいしています


みしみしという骨のおとと
たらちねの悲鳴
まるで

うたのようにきこえる




あしたしぬかもしれない
あしたいきてるかもしれない
かもしれない
しれない
知れない




あしたの

なまえをあげるよ
おまえたちに




未詩・独白 白濁炎上 Copyright オオカミ 2005-03-09 22:25:50
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