がらんどう
ただのみきや

がらんどう
でなけりゃ鳴らない
灯りはいらない
隙間から射し込む程度
外面そとづらはいつだって焼かれているさ
がらんどうで
鳴かねばなるまい


万華鏡を回す要領
青白い夢の燃え滓の
   黒焦げの 不屈の
蠢く心臓の
 ぬらぬら血を纏う 業の深い
壊れた時計の
   逸脱した 歯車の
――ことの 匂い


がらんどうにはガラクタが
片手に余る程度
それで十分
密閉された光響く薄暗がり
こころうつろことばうつし
うつろう水のよう
微かな傾斜を捉え 捕えられ
――何処へ



        《がらんどう:2017年6月3日》







自由詩 がらんどう Copyright ただのみきや 2017-06-03 21:23:30
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