美しいブタ
花形新次

僕は見たんだ

きみは
そんなのはいないって
否定するけれど

横須賀の海に
照らされて
瑠璃色に輝く

ブタを見たんだ

「ジョンウォン!」って呼び掛けたら
ブタは僕の方を振り返って
悲しそうに首を横に振った
振れるような首はないのに

その潤んだ目は
「今はダメなんだ」って
僕に伝えていた

部位の名称を
身体中に書かれて・・・・・
ああ、そこがフィレなんだ

ブーちゃんよ
今のブーちゃんは
あのときの僕だ

後ろ手に縛られて
身動きが取れなかった
あのときの僕だ

きみの目の前に
ひざまづいて
赦しを乞うた僕だ

ねえ、ブタ
ひとつだけ
教えて欲しい

翔べないブタほど
空が恋しくて
弾道ミサイルで翔ぶ
夢を見たがるのかい





ガハハハ、量産態勢に入ったぜ
明日は美しいメスイヌだ!



自由詩 美しいブタ Copyright 花形新次 2017-06-01 20:43:00
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