もう共感しなくなった年月
新人さん

もう共感しなくなった年月が
物干し台にほされてる
夜になれなかったやみが
陽だまりで喘いでる
でも生きる方法なんて
なくならないのだと
笑ってる

昔言ったことのある言葉が
小川に産卵してる
学校を卒業した子供が
硬くなりはじめた髪と
友達になろうとしてる
中華丼を注文したら
小銭が返ってきた
硬貨は
柔らかくならない

あの娘が
洗面器の前で
ゆり戻しを
体験している
いくら流しても涙は
なくなったりしない
きらめいている太陽の光と反して
部屋の中は暗い
ここはどこですかと
問いかける男の
顔が無くなった

新しく友達を
作るとしたら
今度はどこで?
いいえ、そんなこと
わかりません
でも
手紙を出せる範囲に
しておこうと思います
すごいスピードで
遠ざかっていく
赤い車は
何を乗せていたのか
知りません

都心には
雨が降っている
雨は水たまりになっても
誰の心とも交換ができないので
そのまま日に照らされて
消えていく

消えていく


自由詩 もう共感しなくなった年月 Copyright 新人さん 2017-05-31 21:48:54
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