許されない名前を持つ、それはあらゆるドアが開く通行手形『生の証』
狩心

睡眠

全ての意識的認識、運動機能をダウンさせる事ができる
ありがとう
休む事ができる ありがとう 休む事ができる

ある朝起きて
眠る前と丸っきり違う人になっていたい
毎日毎日違う人に移っていきたい
引継ぎで疲れてしまう前に
新鮮な世界だけを漂っていたい

記憶

何も知らない赤ん坊みたいになっても
本当にゼロにはなれない
最低限の活動ができる為の基本的装備
それも脱ぎ去って存在してみたい
であるならば目覚める必要もないのでは?
そう、目覚める必要なんかなかった

物理的体積のない凝縮された魂の居場所
そこから1ミリも動かずに永遠の眠りに尽きたい

睡眠

一時的に魂の居場所に戻れる時間
目覚めなくてもいいと心に強く思うのに
目覚めてしまう
記憶が発動して僕に声をかける

お前は存在している
何をやるべきか分かっているな?
分かっている
分かっているけれど
それがとても辛い

目覚める必要も
存在する必要もなかった
僕の心はそう思っても

魂はそれを許さない
何度も説得しているのに聞き入れてくれない
何度も何度も生まれ変わってしまう

引継ぎで疲れてしまう前に
僕の心と体は 魂の居場所を突き止めて 破壊し
この世界から切り離されて 独立しようとして
許されずに抹消されるだろう

帰るべき場所が無くなってもかまわない
今の新しい僕の望む事が
真実や使命と相反していたとしても
そのささやかな望みを守れるのは僕しかいない

希望は実現したい
しかしその希望さえも消し去っていきたい

破壊と混沌と無に取り憑かれてしまったのかもしれない
しかし今の新しい僕は 魂よりもそれを信仰している

もがけばもがくほど純粋さが失われて
正しさから際限なく離れていく

人の生を肯定できる材料は一向に揃わない

僕はこの世界の僕を破壊しようとしている
この世界のルールに従いたくないから

存在を超えて強くなりたい
活動する事も消え去る事も僕の向かうべき先ではない

何かに包まれるのを望んでなんかいない
何にも包まれない全ての外側

そこに辿り着こうと必死である
そう、必死である
私は必ず死ぬ為の努力を惜しまない

存在に紐付く自分が嫌だ
嫌なんだ! いやだ いやだ いやだ 絶対に嫌だ

記憶

私は終わらせようとしている
長かった『前提』の旅路を








自由詩 許されない名前を持つ、それはあらゆるドアが開く通行手形『生の証』 Copyright 狩心 2017-05-31 11:50:46
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