怪獣と怪獣
朝焼彩茜色



優しく 優しく 優しくしたいのに ごめんね

電話の相手は不具合で私の灯火の余裕が吹き消されそう
テーブルの横でつかまり立ちを口を尖がらせて練習する弟
そしてやがて3歳になるお兄ちゃんはいつも怪獣

その怪獣相手に本気で戦いを挑んで止まない私も大きな怪獣
冷静になれない壮絶なものなのかもしれない 育児とは

電話の途中で消された灯火が悪さをしていた怪獣へ向かう
怪獣が飛び跳ねて私の指が弟の瞼に当たった
呆然とこちらを見ている怪獣に誰にも見せたことのない
200%の睨み 巻き戻せない怒鳴り声 顔を両手で覆い泣く怪獣
本当はもっと怒鳴り叫び散らしてやりたい

ごめんね 優しく 優しく 優しくしたいのに
心の余裕がゼロ地点で育児は始まる そんな開き直りと200%の諦めと


気分を転換させる風に当たりに公園へ
擦り傷一つお土産にハンカチに優しくくるんで ただいま
天道虫を一緒に見ていたことだけが今日の良かった出来事

午後は休戦 大きな怪獣の私は一瞬部屋にこもり
枕を3回叩きつけた


自由詩 怪獣と怪獣 Copyright 朝焼彩茜色 2017-05-19 15:00:58
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