恋を忘れた人魚姫
星丘涙

移ろう時の中
物思いにふけり
白い夢に思いをはせ
淡くせつない恋に揺れては
ひとつ ふたつ ため息をつく
おもむろに髪をかき上げ
震えていた
あの春の日
私は燃えるように
消えるように
息を潜め
秘めた恋心を
隠しきれず
零しては
拾い集めて
夏の夕べの空に
浮かべて
泣いています
わかってください
もう一度だけ
抱きしめてください
ロマンスの星に
願いを捧げ
青い水に泳ぐ魚のように
なめらかに
清らかな躰
くねらせ
ひねらせ
冷たい息をくりかえし
くりかえし
吐き出して
深い海に
身をあずけ
ねむるように
憩うように
よこたわる
わたしは丸い目をした

そこに映る
貴女は恋を忘れた人魚姫


自由詩 恋を忘れた人魚姫 Copyright 星丘涙 2017-05-19 08:53:33
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