望まれたのは一声と
もっぷ
胎児の仕事のかなしさよ
望まれたのは一声と
嬰児の仕事のかなしさよ
乳を飲むばかりで終わらずに
歩けたその日のかなしさよ
靴を覚えるかなしさよ
憂える人あるかなしさよ
応えてみせる稚さ
うそを覚えるかなしさよ
心まみれてゆくばかり
廻る季節のかなしさよ
哀しむ人の増えてゆく
泣き落される昼夜よ
朝陽に咎はないけれど
影を戴くくるしさよ
また靴を履くかなしさよ
また靴を履くかなしさよ
また靴を履くかなしさよ
頽れてゆくせつなさよ
抱きとめてくれる人はさて
骨となってはわからぬが
骨となったらどうだろか