望まれたのは一声と
もっぷ

胎児の仕事のかなしさよ
望まれたのは一声と
嬰児の仕事のかなしさよ
を飲むばかりで終わらずに
歩けたその日のかなしさよ
靴を覚えるかなしさよ
憂える人あるかなしさよ
応えてみせる稚さ
うそを覚えるかなしさよ
心まみれてゆくばかり
廻る季節のかなしさよ
哀しむ人の増えてゆく
泣き落される昼夜ひるよる
朝陽に咎はないけれど
影を戴くくるしさよ
また靴を履くかなしさよ
また靴を履くかなしさよ
また靴を履くかなしさよ
頽れてゆくせつなさよ
抱きとめてくれる人はさて

骨となってはわからぬが
骨となったらどうだろか



自由詩 望まれたのは一声と Copyright もっぷ 2017-05-17 23:35:54
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