波と紋
木立 悟
瀧の夜
火を拾う指
音の無い径
水たまりの径
水の音は鈴
鈴の音は夜
夜の地図は水
光の指をひたす子らの声
火は火のまま底へと沈み
水面に言葉を吹いてゆく
大きなうたも小さなうたも
夜に触れては目をふせる
陽と約束した事柄を忘れ
石に刻まれたけだものを放した
洞 半円 神殿 柱
崩れ落ちる振動のなか
蒼はゆうるりとやって来た
ひまわりの爪 原の傷
鳥は見ない 空の淵
落ちる螺旋 昇る虹
羽は覆う 空の腔
笑みの珠を顎と首のあいだにはさみ
水たまりにくちびるを近づけると
珠は波と紋に溶け
すべての夜に伝わってゆく