空蝉
1486 106

夕方ふと足を止めた
流れ去る風は何処へと向かうのか
気付いたらここまで来ていた
借り物の身体 何処まで行けるかな

明くる朝ふと息を止めた
細胞は許してはくれなかった
何だか胸が苦しくなって
生きたいという鼓動 確かに聞いたんだ

いつだって届けたい
君に届けたい思いがこんなにあって
それでも届かずに言葉は宙を舞うだけ

願いを叶えたいよ 叶えたい
僕はどうしたらいいのかさえもわからずに消えていく

満開の桜 乱れ咲く木々の 短命が故に燃え上がる意志を
繰り返す夏の陽射しより眩しく輝く蝉の歌声を

いつだって届けたい
君に届けたい思いがこんなにあって
それでも届かずに言葉は宙を舞うだけ

願いを叶えたいよ 叶えたい
僕はどうしたらいいのかさえもわからずに消えていく

何かを残したいよ
残したい本当どうしたものかって
拒めど終わりへと進む時間の中で

少しは変わりたいよ 変わりたい
僕はどうしたらいいのかさえもわからずに消えていく


自由詩 空蝉 Copyright 1486 106 2017-05-17 19:34:16
notebook Home 戻る