彼方少年
塔野夏子
彼方少年はいつも彼方を駆けている
街の彼方を
丘の彼方を
地平の彼方を
世界の彼方を
彼方 という成分が
分離しようもなく組み込まれてしまっている
だから
たとえば
自らと向き合うときも
自らの彼方を駆けてしまう
誰かと接吻するときも
接吻の彼方を駆けてしまう
自由詩
彼方少年
Copyright
塔野夏子
2017-05-03 16:52:55