after breakfast
卯月とわ子

ドクイチゴのジャムはどうですか
焼きたてのパンにぴったりです

あの日貴方にぶたれた頬は赤く染まりました
初めての衝撃から幾回も繰り返された蛮行は
わたしをわたしにしてくれました

一瞬の目の中の小さな花火は
頭が揺れているうちに咲き、消えていくのです
だからいつも見逃してしまう
本当に美しい時を

じっくりと鍋の番をするのです
トロトロと火にかけて
貴方の中に流れるそれと同じ色のジャムを作るんです

パンだってもう発酵は済んでいて
あとは焼くだけ

ドクイチゴのジャムはいかがですか
来年の春には貴方を埋めた土に花を咲かせます
淋しい庭が明るくなるはずです

だから沢山食べてください


自由詩 after breakfast Copyright 卯月とわ子 2017-05-03 09:46:11
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