きょうかい。
木築
きょうかいせん、って言葉があるじゃない。
と、いった、彼女が、線をひいた。
むじひに、スッと切れめをきれて、
彼女は、だからね、と無意味なことば。
ひとつひとつが、正義である必要はなかった。
わかっていて、なにが、わかっているんだよ。
ただしい、ということが、なにひとつただしくはない、
そんなただしさ。
理解ができないよ。
あふれる液体が、シリコンカップに、
カチカチにこおらせれば、きっと形になるでしょう。
わかんないでしょ。
彼女がせいいっぱい、つきとばしていたもの、
の、ひとつ、ぼくはうっかり拾ってしまって、ああ、むざん。
冷却温度が足りなかったので、
ぶっしつは流れでてゆきました。
あしもとにしたたるので、
転ばないようにきをつけて、
あ、
彼女がくつしたをもちあげて、
ぬれちゃったよ、
と、いったので、ぼくと彼女のきょうかい、は、
ガラガラとこわれていきました。
しみてしまったものは、もどりません。
よごれてしまったね。
ぼくのこと、わすれてしまってもよかったよ、
でも、
ね、
しみてしまったことがかわらない。
かわいそうだね、って、おもうことが、
彼女をめいいっぱいやさしくつつむ、
あるひとつの暴力の、
あふれてしまったちからのことを、
きょうかいで、懺悔したら、
ぜんぶ、なかったことになりますか。
むじひ、な、切れめ、がやぶれてしまった。
ああ、かわいそう。