さよならブランコ
田中修子
ちいさな公園で
ブランコをこいでいる
あれはともだち
ほうりだされたカバン
あそびすり切れたクツ
おりおりのかわいい花
うつりかわる葉のいろ
近くなる遠くなる空
すりむいて熱いひざこぞう
てのひらは金属に煙たつ
水のみばの錆びたにおい
そろそろイチジクの葉を着よう
ブランコを高くこげた
虫のことなんでも知ってた
じゃんけん強かった
夕暮れ さよなら
まーたーあーしーたー
まーたーあーしーたー
もう会えないかもしれない
いきなり大人になる横顔
影みたいにどこまでも
のびる声
ともだちの名前
みんなわすれた