ネパールの親戚
たもつ

 
 
ネパールのおばさんと話していると
初夏の風が吹いて
自ずとら抜き言葉になる

門扉のところで自転車にまたがっている男に
日本語ではない大声でおばさんは話しかけ
それがネパールの言葉かも僕にはわからないが
またこちらを向いて
親戚の人、と日本語で言って、それから
大丈夫、と言うので
たぶん大丈夫だったんだろう

ネパールについての思い出は
右のことくらいしかないけれど
別れ際に茶葉をくれたおばさんのように
僕もまたいずれ誰かの
忘却の証にしかならない
 
 
 


自由詩 ネパールの親戚 Copyright たもつ 2017-04-19 21:58:48
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