まさか迷子になるまいが
天野茂典

 

   東京都の人間が
   都会へ行って迷子になる
   子供の話だ
   東京の地下鉄は複雑で
   路線図を確めるのが大変である
   パリやロンドン
   イタリアぐらいだったら簡単だ
   今度六本木ヒルズへ院外レクで行くことになったが
   当日は六本木ヒルズで解散になるので
   ぼくは恵比寿に出て
   JR新宿経由で京王線に乗りかえってこようと思っている
   まさか迷子にはなるまいが
   迷子になったら
   氏名 住所 自宅電話番号
   身分証明書代わりの免許証ぐらいもっていなければ
   再び家には帰れまい
   ぼくは自宅の住所
   電話番号はうろ覚えなのである
   4時半ごろには帰りつくはずというので
   安心している

   もし本当にぼくが迷子になったら
   アドバルーンとなって空高く舞い上がり
   東京タワーを眼下に見て
   警官が駆けつけてくれるまで
   のんびりと東京背高のっぽビル見学
   としゃっれてみていたい

   本当に怖いのは大江戸線の荘厳なエスカレーターなのだが
   しっかりベルトをもってぃれば大丈夫
   と慰めてくれる人がいるが
   ぼくを先頭にドミノ倒しのように
   エスカレーターがパニクッたらどうしよう

   それでも
   森美術館によってくる
   たかが東京
   されど東京だ




               2005・03・08



未詩・独白 まさか迷子になるまいが Copyright 天野茂典 2005-03-08 18:57:23
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