みどりの沼にひそむ
田中修子

飲み込んだ言葉が
胸にわだかまりの
どろりとした沼を作る

沼の中で
人に見捨てられ大きくなった亀が
悠々と泳いでいる
よく見ると
子どもを食ってふくれた金魚の尾が
ひらりひらり
こっちへおいでと赤くさそう

この風景をとどめよう
そして私の胸はまた痛む
それでも今日は素晴らしい日
二度と繰り返さないこの空

桃色、青色、金色のかさなる雲に足をとめた
強く吹く風は海からのものだろう
ゆうぐれに月はひどく大きい
目をうつ白さに息を飲んで
そうすると少し楽になる

私は痛む緑の沼だ
沼の中には大きな亀と
子どもを食ってふくれた金魚

よく見ると金魚は人魚であった
人魚の顔は私、
口の裂けるようにわらった


自由詩 みどりの沼にひそむ Copyright 田中修子 2017-04-14 00:53:36
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