みどりの沼にひそむ
田中修子
飲み込んだ言葉が
胸にわだかまりの
どろりとした沼を作る
沼の中で
人に見捨てられ大きくなった亀が
悠々と泳いでいる
よく見ると
子どもを食ってふくれた金魚の尾が
ひらりひらり
こっちへおいでと赤くさそう
この風景をとどめよう
そして私の胸はまた痛む
それでも今日は素晴らしい日
二度と繰り返さないこの空
桃色、青色、金色のかさなる雲に足をとめた
強く吹く風は海からのものだろう
ゆうぐれに月はひどく大きい
目をうつ白さに息を飲んで
そうすると少し楽になる
私は痛む緑の沼だ
沼の中には大きな亀と
子どもを食ってふくれた金魚
よく見ると金魚は人魚であった
人魚の顔は私、
口の裂けるようにわらった