舞踏連鎖
塔野夏子
君が踊れば
ほらもう舞台までもが羽搏きはじめて
宙へ舞いあがってしまうのだ
君の身体から
君の狂おしさがあちこちに飛び火して
つぎつぎ燃えあがってしまうのだ
ほら星々までもが
その位置を乱しはじめている
今宵踊ること
そのためだけに君が昂めてきたEnergy
その放射が
この時空をらんらんと輝かせている
その踊る姿の
抽象と具象をめまぐるしく反転させながら
この時空に君は乱反射する
やがてもう舞台は皆が仰ぎ見る祭壇
君はそこで
屠る祭司であり
屠られる生贄である
君という限りなく鋭いEdgeが
君自身に突き立てられる
君はこの世の他の誰も知らない激しい恍惚に身をゆだねながら
けれど誰よりも狂おしく醒めたまま――
ごらん
はるか宇宙のはじまりから
今この瞬間踊り終えた君に至るまでの全ての連鎖を
澄んだきらめきが走り抜けてゆくよ