桜の死んでいくとき
田中修子

きのうつぼみだったあの子が
今日はもう咲いているね
満開になって
散ってゆくね

みおくるかなしさで
こわれてしまわないよう
みんなで別れをおしんでいる
はなやかなお葬式

淡いピンクの
手や足や目がもげてゆく
ひろいそこねた骨をふまずに
前へはすすめない

ゆく春をひきとめてはいけないよ
なごりおしすぎて
この世からあなたの片足が
落ちようとしている


自由詩 桜の死んでいくとき Copyright 田中修子 2017-04-11 00:30:37
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