栞(しおり)
讃岐どん兵衛

忘れてしまいたいことと

覚えておきたいことが

どうでもいいことに紛れ込み

記憶という空を駆け回る



いつの日か あなたが作ってくれた

栞を探してみたけれど

読みかけの本を片っ端

めくってみたのに見つからない



記憶辿りながらめくるページ

めくりながら辿る記憶

パラパラパラパラ 風に吹かれて空回り

チクタクチクタク 時計の針は 正確に回る



あなたと別れた前日に

読んでいた本がきっと怪しい

鮮明に晴れゆく記憶の空

肝心なタイトルが浮かばない



栞さえ見つかれば良かったのに

思い出したくないことばかり

次から次へと雲となり

やがて雨となり溢れ出す



記憶辿りながらめくるページ

めくりながら辿る記憶

パラパラパラパラ 風に吹かれて空回り

チクタクチクタク 時計の針は 正確に回る


自由詩 栞(しおり) Copyright 讃岐どん兵衛 2017-04-11 00:14:30
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