遊苑地
wakaba

相変わらずメリーゴーランドは
無人のまま永遠にまわっている

雨の日とか晴れの日とか関係なく
毎日ひたすらまわり狂っている

モノクロの少女たちが列をなして
空っぽのメリーゴーランドを眺めている

無表情でまわる白馬の群れを
もう尋常じゃないくらい血走った目で眺めてる

赤黒い目玉が一斉にまばたきした瞬間
白馬の首がスパァンと切り落とされて

少女たちの足元へ転がり落ちる

その時だけファンシーな音楽が流れる
心躍る耽美なメロディがどろっとたれ流されて

少女たちは素敵と呟いて涙を浮かべる

いつのまにか白馬の首は再生されて
足元に転がっていた首は消滅している

何事もなかったかのように
メリーゴーランドはくるくるまわっている

ヒステリックな金切声をたてて
メリーゴーランドはくるくるまわっている

少女たちの願いはそれなりに溶け始めて
あたたかいアイスクリームのように漂っている

添加物で無理やり味付けされた願いが
やるせない形にとけて漂っている

メリーゴーランドはまわっている
誰を乗せることもなく永遠にまわっている


自由詩 遊苑地 Copyright wakaba 2017-04-09 21:49:11
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