遊苑地
wakaba
相変わらずメリーゴーランドは
無人のまま永遠にまわっている
雨の日とか晴れの日とか関係なく
毎日ひたすらまわり狂っている
モノクロの少女たちが列をなして
空っぽのメリーゴーランドを眺めている
無表情でまわる白馬の群れを
もう尋常じゃないくらい血走った目で眺めてる
赤黒い目玉が一斉にまばたきした瞬間
白馬の首がスパァンと切り落とされて
少女たちの足元へ転がり落ちる
その時だけファンシーな音楽が流れる
心躍る耽美なメロディがどろっとたれ流されて
少女たちは素敵と呟いて涙を浮かべる
いつのまにか白馬の首は再生されて
足元に転がっていた首は消滅している
何事もなかったかのように
メリーゴーランドはくるくるまわっている
ヒステリックな金切声をたてて
メリーゴーランドはくるくるまわっている
少女たちの願いはそれなりに溶け始めて
あたたかいアイスクリームのように漂っている
添加物で無理やり味付けされた願いが
やるせない形にとけて漂っている
メリーゴーランドはまわっている
誰を乗せることもなく永遠にまわっている