【 金魚の遺言 】
豊嶋祐匠











ソーダーのペットボトルに


一匹の金魚を


落としてみたんだ


















君と変わらない生活をする

僕らは


神様なんて

信じもせずに

誰もが好き勝手やってる







広く満たされたそのサイダーの中で

君はどれだけの自由を

感じるのだろう







そろそろ息苦しくはないかと

心配になるのだけど


それでも僕は

お互い様だと

呼びかけるしかなかった



























ある日


彼は、寝相の悪い腹を向けて


サイダーの水面に浮かんでいた




















ずっと、彼に


聞きたかった事があるのに





















君は

神様を、信じ

神様を、見る事が出来たか?






甘い

サイダーの世界で

少しでも満たされる事は有ったのか?

























君にしか聞けない


大切な瞬間を逃してしまった時



開けっ放しの


彼の口から


最後の泡が放たれた















君は


僕に何を、言い残したかったのだろうか。





















未詩・独白 【 金魚の遺言 】 Copyright 豊嶋祐匠 2005-03-08 14:12:53
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