ヒヤシンス


 散りゆく桜に想いを寄せて書き下す一編の詩。
 夢に刻まれる走馬燈。
 愛をそれと気付かずに駆け抜けた青春。
 後悔の後の懺悔を心はどう捕らえようか。

 恍惚と愉楽の両翼にまやかしの日々を過ごした。
 夜の闇に目覚める瞳は悪癖の権化。
 桜の花びらが今朽ちてゆく。
 魂はいまだ人生遊戯の中に。

 さようなら、桜吹雪の町。
 人影乾いた祭りの後。
 観音様が流す一筋の涙。

 人よ、振り返るな。
 時の流れと共に行くがよい。
 ノートに記した、桜散る、の言葉。

 


自由詩Copyright ヒヤシンス 2017-04-08 06:03:24
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