生きてゆく
坂本瞳子
だめだ
もうだめだと思いながら
それでもまだ生きながらえている
この鼓動は止まることがなく
呼吸が止むことなく
陽の光を浴びて幸せを噛みしめる
気を失ってしまいたいと切望し
なにも考えることができないほどに絶望し
頭の中も目の前も真っ白になってしまっても
それでも生きていかなければならない
脆弱ながらも貪欲に
貧相な魂を剥き出しにして
涙や血や汗を垂れ流しつつ
それでも飯を喰らい
脈打つ身体から逃れることなく
歓喜するほどの愛は知らず
高揚する気持ちを抑えつけて
もどかしくも恥じらいを知り
怒りを覚え
怒りを忘れた振りをして
悲しみに打ち拉がれ
狂気にまみれて高笑いをし
渇きを覚え
潤す術を身につけ
濡れる喜びを知り
だめだ
もうだめだと思いながら
また明日を迎える