ムーミンについて(その二)
tonpekep

「トロール」とは北欧の童話に登場する精霊のことらしい。フィンランドでも伝説的な存在で、人間を驚かせたりだましたりする、ちょっとやっかいなやつ的感じの妖精で、ムーミンもこの精霊の一種ということだ。ただ、ヤンソンの描くムーミン族は、アニメでもご存じの通り、とても素直でやさしい心の持ち主として表現されている。

ムーミンの他にも彼女の作品はあるらしいが、ここでは割愛させてもらう。
小説のムーミントロールの第1作は『小さなトロールと大きな洪水』(1945年)である。小説ムーミンシリーズはこの第1作『小さなトロールと大きな洪水』から最終刊『ムーミン谷の十一月』(1970年)までの計9冊で、約26年間かかって出版されている。

シリーズの第4作目『ムーミンパパの思い出』(1950年)が出版されるころには、ムーミンの人気は世界的になる。更にトーベ・ヤンソンには絵の才能もあったことは前項で触れたが、1953年、イギリスの日刊紙「イブニング・ニュース」でムーミントロールのコミックス連載を始める。

あまりの人気に7年契約の連載が14年間に延びることに。ただ、週に6日もマンガを書くことに疲れてしまったトーベは、途中からマンガの連載を弟のラルス・ヤンソンに引き継いでもらうことになる。コミックスはラルスを中心に連載が続けられ、1950年代には60の言語に翻訳されることになる。コミックスの仕事のほとんどはこの弟のラルスがしていたのだ。このラルスのコミックスによって、ムーミンの人気は決定的なものになった。

現在フィンランドには、ムーミンワールドといったテーマパークや、ムーミン博物館などがあり、この精霊によって世界から観光客を呼び寄せている。もしフィンランドへ行く機会があったら、ぜひ行ってみたいものだ。

補足として。
「ぐるりと歩いて約8分」ていどの小さな岩島、クルーヴ・ハル島(通称ヤンソン島)に毎夏になると、トーベはボートで通い続け、そこに小さな小屋を建てて、ムーミンの物語を書き続けていたらしい。水道も電気も電話もないこの不便な島で、トーベはムーミン谷の精霊達と向き合い、そして空想の世界で語り合っていたと思ったら、何だかそれだけでひとつの童話になりそうだ。ここへも機会があったらぜひ一度足を運びたいと思った。


散文(批評随筆小説等) ムーミンについて(その二) Copyright tonpekep 2005-03-08 09:54:10
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