柊の実
末下りょう

瞬きしない癇癪持ちの貴女が遅れて笑ららう
瞬きしない癇癪持ちの貴女が遅れて笑ららう

瞬きしない癇癪持ちの貴女が白く透き通る卵を一粒一粒数えて笑うように洗ららう

氷山の如く切り立つブラウスの襟が陽光に煌めき
遅れをともなう横顔からはみだしてくる口
買わされて履かされたスリッパに立ち込める寒波にまぎれ
笑ってない瞳が近づく
いずれしらない虫が見渡すかぎりに湧こうとも よー

短所を愛でろよ よー
逆にその愚かさを よー
丸ごとわたしを よー
よー よー

だれもしらない隙間の奥行きからの
柊の実の流れ弾にはじかれて
飛ぶ春

猶予のない美しい嘘が
なおたりてない

パンツと靴下しかないぼくを
くそ遅い廃品回収車のスピーカーの女の声が
もう哀しみしかないのかとなだめる


自由詩 柊の実 Copyright 末下りょう 2017-03-29 02:24:44
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