そこそこ
末下りょう

そこそこイケメンがほんとうのイケメンなのに、女の人たちは信じてくれない
なぜだろ
髪の乱れやすい季節のせいだろか
排卵日なのだろか

そこそこきれいな人をほんとうにきれいだなと思ってるぼくは
それを踏まえてそこそこイケメンを提案したのだけど女の人たちはどうも納得してくれない

大通りに面したどうしようもなくスクウェアなカフェで
あまりよく知らない女の人や男の人たちとおしゃべりを楽しみ
まわたに包まれたような季節のざわめきにまぎれて憩う

整った顔で静かに眠る男がいればそれでもういいと
女の人たちはくすぐったそうにはしゃぎ
ぼくたちも7つまではハンサムだったんだと
男の人たちはセーターをいじりながら足並みを揃える
朝の折り込みチラシで150グラム321円の生カキをみたとき
ここしばらく冬をおそれすぎてたことを反省した
いつか好きな人の好きな人になれればいい
ずっと大切な人の大切な人でいれればいい

もしかしたらそこそこ物欲しげにしてたのか
ビターでスウィートな口当たりとともに
綺麗なお返しを選んで渡すたのしみももらった

小走りでおでこから冷える午後の小雨をちゃっと曲がると
さやかに濡れた石の鳥居にしっとりもたれて
黄色に近い金色の目をしたガキが待っている
にやにやしてそこそこと指さすブレーキ痕
風は皮膚よりもやや濃い


自由詩 そこそこ Copyright 末下りょう 2017-03-19 18:23:42
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