風邪の特効薬
イオン
「教授、医学の進歩の割りに
 決定的な風邪の特効薬ができていませんよね
 僕が開発して、ノーベル賞を目指したいのです」
「そうか、それは、やめたほうがいい
 風邪がすぐ治ると、ズル休みができなくなる
 それでは、人々の役には立たない
 ノーベル賞は無理だ」
「教授、でも、大切な試験や取引などで
 人の役に立てるじゃないですか?」
「君はその薬を人のためと思っているが
 私には賞を取るためのものに聞こえる」
「教授、それじゃ
 風邪をひく薬というのはどうでしょう
 これでならズル休みもできるし
 大切な日の前にひいて直しておけばいい」
「君はすごいな
 そこまでして賞を取りたいのか?」
「教授、実はノーベル賞が取れる
 特効薬を開発したんです
 あとは、テーマを選ぶだけなんです
 あんまり陳腐なテーマで受賞すると疑われるので」
「君はすごいな
 なぁ、私にもくれないか?」
「冗談ですよ
 でも、お断りします」
 
