カテーテル
5or6




何千、何万回と
細い管を体内に入れて
排出するために
カーテンで遮るような社会

赤い手帳が福祉の窓口に置かれ
自動ドアが開き
外からの風が吹いて
折り紙で作った鶴のように飛ばされる
世界

娘が生まれて
僕は
知った
三人で
手を繋ぎ
歩く事の
ありがたさを

お菓子は一つ
レジに出して
ありがとうと
礼をする娘に
育ててくれて
ありがとうと
嫁に礼をする

さらさらとした肌を触り
最初にごめんねと涙を流した
生まれたばかりの声を聞いて
生まれてくれた意味を知った
これから始まる
いくつもの困難な出来事を
たとえ管を付けたままでも
少しずつ歩いていくんだね
悪意の無い世界で
笑顔と泣き顔が交差して
理解しながら受け入れる
普通に生きること
普通じゃないこと
その区別なんて
親には関係ないこと

不自由な左足を
周りを見て気付く頃
カテーテルの意味を
理解出来るよう
真っ直ぐな瞳で伝えたい
それは謝るだけじゃなく
お前をどんなに
愛しているかという事

愛しているかという事


















自由詩 カテーテル Copyright 5or6 2017-03-17 12:35:33
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