丘の上
乱太郎


紅葉の森を過ぎていくと
ささやかな秋の風の音さえも
白い雲の果てに枯れ落ちていった気がした
また訪れるあの人へ
遠くなってしまったあの人の温もり
忘却の彼方から
舞い降りる晴れ渡る声
今日しっかりと大地を踏みつけた分だけ
あの人と触れ合った気がする

誰もいない
いまはこの上ないひと時を
あの人に
手を合したこの音が聞こえたでしょうか


背中をひるがえすと
丘の上からは
人々の生活が動いているのが見える



自由詩 丘の上 Copyright 乱太郎 2017-03-15 16:51:36
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