イライラする
坂本瞳子

イライラするのは
しょうがないとして

イライラしていないふりを
うまくできなくて

八つ当たりしたり
舌打ちしてみたり

その後で自己嫌悪して
それでも生きていかなくちゃいけない

後ろを振り向くのが怖くて
中途半端に斜め後ろまで見て
お酒飲んで誤魔化して
作り笑いもうまくできなくて

涙の流し方は忘れて
声を上げて笑うこともなく
怒り方も
優しい接し方も
どこかへ追いやって

全力で走るほどのエネルギーは持ち合わせなくて
息が切れて
鼓動が強く脈打つのに
耐えられなくて

ただ取り繕うことだけを繰り返し

偽りの自分を飾り立てることに
一生懸命になって
それでも自分は頑張っていると言い聞かせ
ときに頑張り過ぎ

世界中が大嫌いになって
居場所を今も探している

たかが街の片隅で
身を縮こませて
それでも温もりを求めて
自らの生を認識し
踏ん張って
嗚咽を漏らさず
息を潜めている

止まらないイライラは
もはや止めようと試みず
このままでいようと
息を潜めている

馬鹿にされようと
蔑まれようと
これが今の自分だから


自由詩 イライラする Copyright 坂本瞳子 2017-03-10 23:35:51
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