胡蝶の夢
長崎哲也

 
 蝶が、
 たくさんの蝶が舞っている
 ビルとビルの稜線で区切られて
 行き場を失くした空に
 乱舞する蝶たち
 

今ある全ての理は、夢のように移ろい
留まることを知らない
今ある現実は、本当のことではなくて
幻なのかもしれない
夢を見ている私は、私ではなくて
私以外の誰かかもしれない


過ぎていく時間に流される、心
知は、宇宙の果てまで思いを馳せるのに
現身の現実は儚くて
この世は泡沫のように
湧き上がっては消えていく、蜃気楼
胡蝶の夢のように


さりとて、現に生きる身は
本能のままに生かされていて
思うことは、今日の糧のこと
その落差を埋められないでいる
今日もただ佇んで
夕日が星空に変わる狭間を眺める私が
いるだけ
 
 





自由詩 胡蝶の夢 Copyright 長崎哲也 2017-03-10 15:11:44
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