歪みゆくこの夜
坂本瞳子
歪みを感じる
いつからだろう
目に見えているわけではないが
なにかが歪んでいるのを感じる
歪んでいるのは
私の心だろうか
それとも世界だろうか
どうしてこんなことになってしまったのだろう
なんだかとても正しくない気がする
少しずつ
少しずつ
歪みが大きくなっていって
裂け目ができて
割れてしまうんじゃないかなんて
そんな気さえする
気づいているのは自分だけなのだろうか
私だけが正しく真っ直ぐで
ほかの皆が歪んでいるのだろうか
それともその逆で
私だけが歪んでいるんだろうか
なにがどうでもいいけれど
こうして歪んでいるのは怖い気がする
正しくない気がする
大きな破壊がもたらされるんじゃないかと
ビクつくことだってある
真夜中に軋む天井と同じ
歪みが奏でる奇怪な音声
解消する日は来ない気がする
不安に包まれて
今日も夜が更ける