内線303/即興ゴルコンダ(仮)投稿
こうだたけみ

長いながいリノリウムの廊下
走るはしるどこまでもつづく
冷たさ等間隔の蛍光灯がつく
りだす光をゴム底のサンダル
が吸収してさっきから一歩も
動いてないみたいなストップ
モーション繰り返す呼び出し
音からは息をひそめる気配が
するまだ残ってたの下校時刻
はもう過ぎてるよと開口一番
怒ってみせようと思っていた
のに受話器を取ると「先生、
とくに用はないんですけど、
忘れられない学校生活になり
ましたありがとうございまし
たそれだけ言いたくて」一方
的に切れた電話が誰からかは
わかっていた三階の準備室の
奥から三番目つまりもっとも
ドア側の席の内線を鳴らすの
はきみだけだって知っている
から元気でなくてもいいつら
かったら逃げたっていい笑い
たい時は思い切り笑っていて
卒業おめでとう新しいあたら
しい君がもう鳴らさない303


自由詩 内線303/即興ゴルコンダ(仮)投稿 Copyright こうだたけみ 2017-03-04 21:28:55
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