夜に沈む
ヒヤシンス
黒い手鏡にお前はお前の影を映し
真夜中に発汗する。
ぬめりを帯びた白い肌はうっすら染まり
不安の糸をその指先に絡めた。
不協和音の営みがその役割を終えても
残された不安はその場に居座った。
方位磁石の針はぐるぐる回っていた。
時計の針はぴくりとも動かなかった。
真夜中の珈琲は誰かの血の味がした。
何気ない動作は新たな不安を生んで
憎らしい部屋に線香の煙を撒いた。
ひっそりと自分の名を刻むお前の悲しみを
黒い手鏡は重たく映していた。
窓を開け放つと先の見えない夜が沈んでいた。