春~graduation~
讃岐どん兵衛

澄んだ空 霞がかる頃

蕾は次々と押し出され

揺れるまだ冷たい北風

自然と近づき合った 間もなく



また明日ね と迎える未来から

また今度ね と迎える未来へと



僅かな変化 少しのズレ 

今ならわかる

咲き始めた 花となり



並木道を歩きながら

振り返る 隣を歩く君の面影

再会したかのような喜びは  チクリと痛む瞬間だった 



将来の夢を語る時の 

君はとっても眩しくて

制服に隠しきれなくなった思い

外れたふたつ目のボタン 何気なく



留め直そうとしてくれた君の手に

本当は手渡すべきだったもの



負けるもんかと 語り返した

夢よりもっと伝えたかった

君が好き



並木道を歩きながら

想い出す 春はあの頃の風になり 

そっと優しく背中をおすように

足取りを軽やかに変えてくれる



後悔の気持ち 戻りたい気持ち 何度も自分責め続けた日々

また 春が来る



並木道を歩きながら

思い直す 別れがスタートだったのだと

躓いた石を踏み板にして

ひらり 宙を舞う花びらをつかみ



並木道を歩きながら

重ねていく 三月


自由詩 春~graduation~ Copyright 讃岐どん兵衛 2017-03-04 01:55:08
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