眠るとき
獏
明日はきっと晴れるだろう
君がいても、いなくても
君の好きなあの子は仕事に行くし
君の嫌いなあいつはよろしくやってる
明日はきっと晴れるだろう
君がいても、いなくても
いつも通り電車は止まるし
天気予報の的中率は低めのままだ
流れる雲を眺めている
濁った川を通り過ぎる
交わらないものばかりで溢れる世の中だ
君は
その中の一人
詩を書いても生きてはいけないんだよ
生きる楽しみにはなるけど
おにぎり一つ分にすらならない
そんな人生
明日はきっと晴れるだろう
私がいても、いなくても
代わりの誰かがいてしまうような
当たり前に浸かっている
明日はきっと晴れるだろう
私がいても、いなくても
風船が遠く飛んで行く
どこかから産声が聞こえる
いつかの自分を思い出す
夕暮れの空を見上げる
落としたものを思い出せなくなってしまった
日々の終わりで
詩を書いても生きてはいけなかったけど
生きる力にはなったよ
言葉はヒーローになった
そんな人生
明日はきっと晴れるだろう
誰がいても、いなくても
繰り返しは溜息と安らぎを乗せて
その先に光を当てる
明日はきっと晴れるだろう
誰がいても、いなくても
そんなことを考えた午前二時
眠るときの話