空欄を埋めよ
Seia
昨日まで
思い出せていたことが
今日になって
本棚から消えていて
そのわりに
十六巻
二冊持ってるし
売りに出そうか迷ってそのまま
どちらを読んだってかまわないのだけど
片方だけが色あせていく
ざらざらとしたページ
めくっても
めくっても
既視感のあるコマばかり
主人公は決して
倒れない
はずでした
忘れているのか
最初からなかったのか
今となっては
どちらでもあまりかわらず
ぽかりと
一冊分の隙間
自分で書いて埋めてしまおうか
似ても似つかぬ
絵と台詞で
突然ぼろぼろになったわたしが
目的の場所に辿り着いている
嫌な予感がしたことだけは
憶えているのだけど
そしてそれは
破れた服をみるに
おそらく的中していて
何度目かの
ベッドの上で
またペンを落としてしまう