目玉のない猫
花形新次
家で飼っていたガチョウが
猫に喰われて死んだ
首しか残ってなかった
明日、家族で
ガチョウシチューにして
食べるつもりだったのに
「これじゃ、ガチョウのセセリの
塩焼きにしかならないわい」
祖父の鴨川課長が
悔しさを噛み殺しながら
吐き捨てるように言った
きっと犯猫は
隣のらりらりおばさんとこに
出入りしている
ルーシー・ゴンザレスに違いない
そう睨んだ僕と鴨川課長は
ルーシー・ゴンザレスの
目玉シチューの材料を探す
冒険の旅へと繰り出すのだった
それから48分後
ルーシー・ゴンザレスの左目を
コトコト煮込んだシチューが出来上がった
シチューを美味そうに啜る
僕と鴨川課長を
隣のらりらりおばさんに抱かれた
ルーシー・ゴンザレスが
右目でじっと見ていた