目玉のない猫
花形新次

家で飼っていたガチョウが
猫に喰われて死んだ
首しか残ってなかった

明日、家族で
ガチョウシチューにして
食べるつもりだったのに
「これじゃ、ガチョウのセセリの
塩焼きにしかならないわい」
祖父の鴨川課長が
悔しさを噛み殺しながら
吐き捨てるように言った

きっと犯猫は
隣のらりらりおばさんとこに
出入りしている
ルーシー・ゴンザレスに違いない
そう睨んだ僕と鴨川課長は
ルーシー・ゴンザレスの
目玉シチューの材料を探す
冒険の旅へと繰り出すのだった

それから48分後
ルーシー・ゴンザレスの左目を
コトコト煮込んだシチューが出来上がった

シチューを美味そうに啜る
僕と鴨川課長を
隣のらりらりおばさんに抱かれた
ルーシー・ゴンザレスが
右目でじっと見ていた



自由詩 目玉のない猫 Copyright 花形新次 2017-02-27 23:09:58
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