胃の中の蝶々
坂本瞳子

胸騒ぎがする

良くない兆候を
期待している

満月が輝くのを
目が欲している

喉が渇くのを
待ちわびている

鏡を見ないように
冷たい水に触れないように
匂いの強い球根に当たらないように

睡魔に囚われているくせに
もうすぐ目覚めそうで
寝たままでいたいと願い
ほぼ寝たふりをしている

シーツに包まって
ひた隠しにしているつもりでいるが
胸騒ぎがはちきれそうで

ほくそ笑んでしまう


自由詩 胃の中の蝶々 Copyright 坂本瞳子 2017-02-27 22:40:29
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