愛の囁き
ヒヤシンス
愛を囁くと梢が揺れた。
協奏楽の流れる部屋に人は無口で
病人の枕元に一輪の花をかざした。
今在る優しさに皆耳を澄ませた。
枯草の美に共感出来た時、私は和的な幸せを得た。
忘れ去られる過去よりも創造する未来を選んだ。
病人の静かな休息は私に安らぎを与えた。
言葉を発する者は誰一人いなかった。
人生の休息は一つの美である。
玉響の命は大いなる美である。
飾り気のない美こそは永遠だ。
かざした花の奥底に私は永遠の美を見た。
優しさの床に就く病人がたまらなく愛おしい。
そっと愛を囁くとまた梢が揺れた。