樹
はるな
そして言葉がのこる
かなしみ蹲り泣きわめいた疲労のあとに
抱きあい掴みあい崩れ別れた困憊のあとに
言葉がのこる、
文字からかろうじてことばのかたちをして立ち上がる
泥のようにみじめでやさしくとりとめなく懐かしく
あとはみんな忘れてしまう
愛したことも 憎んだことも 疲れはててあきらめたことも
どこまでも歩いたことも、そうしようと決めた理由も
どこから来たのかも どこへ行くのかも どこへ行きたかったのかも
そして言葉がのこる
はじめてみたいにして世界のことを知りはじめる
自由詩
樹
Copyright
はるな
2017-02-23 20:54:25