平成 曾根崎心中
HAL
好いて好かれて好かれて好いて
恋焦がれしも添えるか添えぬは
ひとには分からぬ浮世の定め
永久なる硬き契りを交わしても
いつかは千切れしこの世の定め
惚れて惚れられ来世も共にの
誓いし言葉も虚しきまほろし
想い想われ慕い合しを
腐れ縁だと知るも佳し
何を恨むか何に沈むか
未練の炎を焼かれても
それが己が定めと知るも佳し
浮世はいつも残なきもの
やさしさゆえに傷つきて
それを耐えるも定めなりしと
祈るも呪うも思ひのまま
その愚かさを嘲り誰かが薄ら笑い
死者に鞭打ち袖振る雨に
浮世の定めと嘆くも佳し
深き闇にて朽ち果てつつも
生きるも難し死ぬも難しと
それが定めと覚えし頃に
彼岸の招きが舞い落ちる
それが浮世の定めと知るならば
惨きことよと泣くも佳し
涙枯れ果て尽きるまで
ようやくにそれが定めと悟るなら
今世の救いと知るが佳し
浮世の無常に心は敗れ
生のひとつは無きが如しと
死出の川への旅支度
誰もが同じの旅支度