無題「森」
ツノル


海のない丘に暮らす森人
草花や木の葉に語りかければそれだけで幸せだった。

海はときに荒れ狂い
山は木霊が嘘をつく

誰かの言動に傷つき失望する。
もう誰も信用はできない。

親しい友に裏切られた。
もう誰も友人とは認めない。

まわりに誰も居なくなって
僕はひとりぼっちになってしまった。

太陽は欠け
月が微笑んでも
僕はその理由をずっと考えていた。

旋風は居場所を迷わせてしまう。
あるときもう一人の僕が現れて
そっと教えてくれた。

(おまえは道もわからずに誰かを探している。誰かに頼ろうとしているのか。)

見渡せばずっと森の中だった。
僕は風の在処を頼りに藪を抜け出して
ひとり歩いて行くことにした。



自由詩 無題「森」 Copyright ツノル 2017-02-13 23:32:33
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