珠玉の道具
ひだかたけし

薄氷の上を
危うくも繊細な
ステップ踏み
僕は進む
いつ崩壊しても
後悔だけはしないように
慎重に大胆に僕は進む

世界は獰猛な場所
人と人が争い喰い合い
天返に隠れ胡坐かく支配者共は
死の恐怖を快楽で埋めている
金、セックス、暴力、理性
そう、上辺では優しく微笑みながら
人々が吐き出す過剰なエネルギーを
自らの肥え太る欲望のために巧妙に収奪する

薄氷の肉が
危うくも繊細な
鼓動刻み
僕は進む
いつ崩壊しても
後悔だけはしないように
慎重に大胆に僕は進む

この薄氷の身体を
唯一与えられた
魂の珠玉の道具を
もうこれ以上、
踏み付けられないように。




自由詩 珠玉の道具 Copyright ひだかたけし 2017-02-13 20:06:12
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