事後
はて

真昼の睦み
カーテンを開けた窓の外には
寒さを抱えた雲が形を変えながら去っていく
明るさだけを保ち
白けている光は差し込む
見下ろす背中にも冬の気色は映り落とされている
体温は皮膚の内側に押し留められていて
指で少しずつ引き出していく

鮭の照る油の甘みを口の中で反芻していた
舌に絡まる橙
昨日の夜
溶けた一切れが体のどこかで
熱を帯び始めていく

窓が揺れる
解かれていた意識が戻ると
西日が間接的に黒髪を光らせて
束の間の上気を隣の肌の上に
露わにして

冬を忘れそうな夕暮れが去るまで
離れかけた背中に触れて


自由詩 事後 Copyright はて 2017-02-13 03:20:30
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