社会の告白
イオン

 電車を待っていたら
 隣にいた男が急に話し出した

「あなたはこれからも
 騙されたと思って
 騙されてください
 信じてくれていたなら
 信じ続けてください」

「なっ、なんですか?」

「社会はそれができる人だと
 あなたを信じているから
 やっている事なのです
 あなたは変わってはいけない」

「あの、人違いでは?」

「いえ、安田さん
 私は社会です
 これからもあなたを騙し続けますが
 騙されたと思っても
 騙され続けたほうが幸せです」

 そう言い残して
 ホームの階段を駆け上がり消えて行った

 突然過ぎて言葉を失ってたら
 電車が入ってきてドアが開いた
 降りて来た男がすれ違いざまにつぶやいた

「あなたを信じています」


自由詩 社会の告白 Copyright イオン 2017-02-12 11:46:36
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