マスク
唐草フウ
こん夜
つけて寝るためのピンクのマスクがある
かの女はいま
どんな心の中の秒針を回して
何を燃焼し拍動し続けているのか
考えたりする
答えはどこにもない
海にも空にも星にも
そしてここにある 花にも
たたかいごとが好き
火種を拾うことも好き
そして嘘も大好き
やけぼっくいは捨てたり拾ったりもする
車窓に見える景色の先
アイライナーの筆の先
死角のあるブロックの先
感情をあるふりをする
感情を消すふりもする
悪いことを悪いと言いながら
悪いなんてちっとも思っていない
一日のごみは夜空に捨てて
”あんもくのりょうかいのじゅもん”を解いて寝床へと消えていく
ほんの少し残っている精一杯のやさしさについて
考える
かの女の立ち尽くす陰のあしもと
か細く所在無い声
その奥に秘めた悲夢
を装った、
アップデートできないままの
上書きできないままの
被弾した服のやり場を
答えはどこにもない
星の中にも布団で泣いても
検索をしても出てこない
そしてわたしはこの口を抑え守る
ピンクのマスクを耳にかけて