てのひらに降らせたカラフルなキャンディの雨
気前よく景気よく弾けるクラッカーの紙テープ
そんなふうに

グリンピース
ぐらぐら沸き立つナベの中に
　　グリンピース
放り込むのは何故この両手ではなくて
グリンピース
涙ですらなくて
　　グリンピース
はじめから芽吹くあてなく生まれてきたの
グリンピース
まるいしずかな眠りのなかで
　　グリンピース
閉じたゆめをみている
グリンピース
いくつものひとつぶの果てにあるはずだった
　　グリンピース
生まれなかった種子たちのゆめ
グリンピース
風のささやき
　　グリンピース
ひなたのにおい
グリンピース
こいぬのくしゃみ
　　グリンピース
あらいざらしのシャツにできたしわ
グリンピース
ふざけあって転げまわった髪から
　　グリンピース
しめった土が散る
グリンピース
ゆびのすき間から
　　グリンピース
わたしがこぼした未来のしずく
グリンピース
ひろいあつめるなんてとほうもないこと
　　グリンピース
水をつかむよりはたしかなてごたえだとしても
グリンピース
ひとつぶごとに色やかたちがちがっているのを
　　グリンピース
きみは気づかないそれでいいの
グリンピース
つやめくみどりを
　　グリンピース
ひとつまみの塩のせいだと信じていてどうか

このままどこまでいけるかわからないけど
グリンピース
のうかんだスープを
むかいあって
たべたり
わらったり
よりそったり
ねむったり
もういやになるくらいそんな単純なことでも

てのひらに降らせたカラフルなキャンディの雨
気前よく景気よく弾けるクラッカーの紙テープ
ほんとうは
きみにあげたいのはそんなふうな嵐　いつも