ふるさと
オイタル

また一枚
ふるさとから剥がれ
影のように
うっすら電車に乗る

私たちから
離れて行って
やがて
立ち止まる

立ち止まる
点々とする縁石の上で
淡い硝子戸の
上がり口の前で

私たちの据え付ける
椅子のような
木の根のような
という
ふるさと

ふるさともまた
生きることに夢中で
待っていてくれるだけのふるさとなど
どこにあるものか

そして またも一枚
影のように
ふるさとから離れる
電車
という電車が
あちこちを行く


自由詩 ふるさと Copyright オイタル 2017-02-10 20:29:04
notebook Home